雨、やみませんね デュラVr
「雨、やまないね」「あぁ、やまねーな」
二人してぼーっと空を見上げるが、真っ暗な空から落ちる雫はとどまる気配も見せず。
いつものごとく追いかけっこ(とは一般的に言えないレベル)を繰り広げていた所に急に降ってきた雨。予想外の土砂降りは二人の足を流石に止めたようで、今は大人しく二人並んで雨宿り。
この光景を知り合いたちが見たら何と言われるやら。
そんな事をお互いが思っているとはつゆ知らず、ただただ静かに立ちつくす二人。
そういえば、とふと気付いた臨也は横目で隣に立つ男に視線を向けた。当の本人は全く気付かずにタバコを吸おうとして、雨で濡れてつかないタバコの火に眉をしかめている。
そういえば、喧嘩もせずにこうして二人並ぶなんて、いつ以来だろうか。
視界に静雄を入れながら、頭に浮かんだ疑問に考え耽るが全く答えが見つからない。つまりは、殆ど記憶にないのだろう。おそらく相手もそうではないのだろうか?
「ねぇ、シズちゃん」
「あ?」
「俺らがこうして並んでるのってさ、いつ以来だろうね」
答えを期待したわけではない。それでも、何となく口をついた言葉。だからだろうか、疑問形ではなくすでに独り言の部類に入るような呟き。
それでも変な所で律儀なのは臨也相手でも変わらないのだろう。しばらく押し黙ってから静雄はカシャンとシャッターにもたれかかった。
「あー…前にもなかったか?」
「え?」
「ほら、1年の時にもよ」
そこで止まった言葉だったが、臨也にも思い当たる節があったのだろう。小さく「そういえば、そうだね」と首肯する。普段ならウザいだの死ねだと何だの言い合っている二人だが、どうやら今日はそんな気分にもならないらしい。
「ねぇ」
「おう」
「雨、止まないね」
「雨、止まねぇな」
「もうちょっと、このまま雨宿りしよっか」
「そうだな」
きっと、知り合いの姿を視界の端に入れたら、即いつもの行動に逆戻り。そんな事を二人とも自覚しながら。
それでも、今一時の休養を。
END
2011.11.25(多分)